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「たまたま 第23号」(発行/たまたま本舗)

不吉な雰囲気が立ち込める、小網恵子さんの詩「外側の道」。夢の中のでき事が現実にそのままスライドするのは恐ろしいです。この黒い手は何を象徴しているんだろうとつい考えてしまう作品です。

吉元裕さんのエッセイ「ネットショッピング」は面白く読みました。健康に良いといわれるものを独自で開発していくと……ドクダミンC!……ちょっと飲みたくありませんねえ(笑)
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「たまたま 第22号」(発行/たまたま本舗)

丸山緑子さんの詩「石のゆくえ」。

血液を採りますから
看護師に呼ばれ
細いガラス管三本分が太い注射器に吸われていく
ふっとどこかにつれ去られる気分 (抜粋)


この感覚わかります。わたしは採るほうですが、時々、血液の入ったスピッツを見て、ついさっきまでその人の体内を流れていたものが外界に物としてあるのだとふと不思議に思うことがあります。美容院で床に散らばったカットされた自分の髪を見た時にも同じ感じを受けます、が、血液のほうがインパクト強いです。

小網恵子さんのエッセイ「母が亡くなって」。夏に亡くなった母のいくつかの思い出が書かれています。介護の日々が終わり、いなくなった母親の存在を改めて確認する、それは自分の存在を一番知ってくれていた人を喪失したことへの確認でもあるのだと思いました。

「たまたま 21」(発行/たまたま本舗)

これは…どう言ったらいいのだろう。詩という形式の持つ力を見た気がします。小網恵子さんの「薔薇の本」。薔薇の本に載っている様々な薔薇の種類から導かれるひとりの人。その人との会話。そこから染み出るその人の状況と、閉じた本の中の薔薇が重なり、独特の雰囲気を醸し出しています。

広げたページに紅の薔薇が咲いている。迷宮のように巻き込み、考え込んだ中心あたりに影の昏い部分がある。本を閉じても畳まれた薔薇から薄暗い空気が流れだしてくる。暮れかけていく(一部抜粋)

「たまたま 20」(発行/たまたま本舗)

中村博司さんの詩「青い空」は、3連で構成されているソネット形式の作品です。この短さの中にあるエロスに惹かれました。突き放し方がいいなあ。
あとがきで知りましたが、同人の富山直子さんが福田正夫賞を受賞されたのですね。はつらつとした作風が印象的な方だと思っていました。おめでとうございます。

「たまたま 16号」

「たまたま 16号」(発行/たまたま本舗)

李美子さんの詩「わるい癖」。宛名を書き忘れても誰かわかるところや、手紙の差出人との想像上のやりとりから、おふたりの親密さが伺えて気持ちが温かくなります。富山直子さんの作品「ガールズ不協和音」は前作を上回る疾走です。走ってますねえ。
詩誌のちょうど中ほどのページに山岸光人さんの長いエッセイ「懐かしのメロディー ★松下育男さんの詩集を読んだ頃…」が掲載されていました。タイトルが軽めだったのもあり、さほど何とも思わずに読み始めました。けれど、読みすすめるうちに作者が長い間書かずにいたいくつかのできごと―70年代の社会や身近な人物の自死、活動していた人の生と死が堰を切ったように書かれていて、学生運動という言葉しか知らないわたしでも胸が熱くなりました。作者が70年代のことを想いながら書いたとされる詩「雑司が谷墓地まで」を一部紹介します。「あの橋をこえ 振り返ると/駆け抜けた十字路のあたりでキリンが燃えていた/股のあたりからくろいシミがながれだし/なにかをつかもうと 前脚をまさぐっていた/まさぐるさきに/ぽつんと/サバンナの石がころがっていた/それから きみ/清瀬の病院でなにをさがしていたの?/サバンナの石?/キリンの首?」

プロフィール

name:
山村由紀
自己紹介:
●主な出版物
詩のアンソロジー『豊潤な孤独』
 (2008.01/草原詩社)
詩集『風を刈る人』
 (2006.06/空とぶキリン社)
詩集『記憶の鳥』
 (2001.07/空とぶキリン社)
●主な活動
個人詩誌「kanpinue」発行
詩誌「風箋」同人
同人誌「Lyric Jungle」編集委員
(詳しくはHPを見てください)
●記事にコメント欄がありません。
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