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「刺虫7号8号」(宇宿一成個人詩誌)

水月りらさんの詩「落陽」は、研ぎ澄まされた言葉が次々現れます。
一番印象に残ったのは

昨日の夕陽を覚えていても
明日の夕陽と逢いたくなる(引用)


の2行。ほんとうに、そう思います。

宇宿一成さんが「ひとことコーナー」に宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』を観たと書かれていました。わたし見そびれたんです。DVD借りなくちゃ。
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「刺虫6号」(宇宿一成個人詩誌)

宇宿一成さんの詩「光る石」。新たな発見には希望と、それと同等の危険が潜んでいるということを改めて感じました。また、この詩が今書かれたことで、後世がその発見をどう扱ったのかと、問いを突き付けています。

あなたたちは
見えない光が
どれほど人を幸せにするかと
胸高鳴らせたのだろう

マリーキュリーの
実験ノートは今も
その放つ放射線量の高さから
手にすることができないという(抜粋)

「刺虫4号」(宇宿一成個人詩誌)

坂本真紀さんの詩「兆し」に、説明をばっさりと切り取る潔さを感じました。なかなか勇気がいるんですよね。他者にわかってもらいたい時、どうしても言葉を費やしたくなりますもの。氷点下にもなる真冬の部屋に置いてある鉢植えの南国の木、それを寝転がって見ているわたし。不自然な状況を当たり前とすることで蝕まれることを見つめています。

入り組んだかたい葉に
とりきれないカイガラムシ
濃いみどりはつやをなくして
フェニックスは
とっくに生きる力をなくしていた

気づいたときには、いつでも
ぜんぶが終わっていて

雨は
もう、ふっている
すこしかげったあおぞらの下
草もひとも濡れている
(作品後半)


「刺虫3号」(宇宿一成個人詩誌)

今号から(だったかな?)「イラムシ」の写真が表紙に登場です。この虫、ベランダにいたぞ。あまりに変なかたちだったので触らなかった記憶があります。触らなくてよかった。
宇宿一成さんの詩「夕暮れの喜劇」は不気味なイメージが続く散文詩です。死んでしまった猫、寄生する虫。はじめは現実に則したようで、次第に独特な世界に入っていきます。

女の子はゆっくりと立ちあがりました 肩を落として 小刻みに震えていました 泣き声はもうきこえません 口も流れたのでしょう 私の耳も いつのまにか川面をわたる風に流れたのかもしれません (一部抜粋)

「刺虫 2号」

「刺虫 2号」(宇宿一成個人誌)

古井戸崇子さんの詩「夏に降る」は散文詩です。肩の力の抜け加減が読む者をもリラックスさせてくれます。「ある、ある、そういう気持ち~」とうなづきながら読みました。


いつでも「すきです」っぽいことを言えるだろうという油断を
持っていた人には それを見破られたのか居られなくなっ
てしまった 繰り返し同じ後悔を思い出している私とリード
でつながっている犬の まったくお構いなしの放尿が降り
始めの雨の中に愉快ですらある
                                             (「夏に降る」一部抜粋)

プロフィール

name:
山村由紀
自己紹介:
●主な出版物
詩のアンソロジー『豊潤な孤独』
 (2008.01/草原詩社)
詩集『風を刈る人』
 (2006.06/空とぶキリン社)
詩集『記憶の鳥』
 (2001.07/空とぶキリン社)
●主な活動
個人詩誌「kanpinue」発行
詩誌「風箋」同人
同人誌「Lyric Jungle」編集委員
(詳しくはHPを見てください)
●記事にコメント欄がありません。
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