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「橄欖 第95号」(編集発行/日原正彦)

今井好子さんの詩「あな」。
身体の一部に穴が開いてだんだん大きくなる。そのうち風景が穴に現われてくる……ルネ・マグリットの絵が頭に浮かびました。
穴のなかにいろいろなものが見えてくるのだけれど、わたしはそのことよりも穴が大きくなるということは体が消されていることでもあって、それが恐いなとおもいました。
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「橄欖 第92号」(編集発行/日原正彦)

日原正彦さんの詩「裏半分」。なんでしょうこの詩は。わかったようでわからなくて、でもわかってしまうんです。普段、ふと思うだけですぐに忘れてしまうような日常のひとコマが描かれています。
「裏半分」というタイトルから、この「ぼく」は月の裏側のようなごつごつした暗い所でじっとしているような気がしました。

なんだかこわい と思っている
顔を ぜんぶ
女の子が笑う

無言も含めてすべてにこにこと領有されてしまったので

ぼんやりがどんどん濃くなる
濃くなって真黒な影になってふっと消えてしまいそうだ
(引用)

「橄欖 第91号」(編集発行/日原正彦)

大西美代子さんの詩「咲く」。作中で「咲く」とくりかえされるうちに「咲かない」という言葉が頭を占めてきます。その不思議な感覚。しだいに「咲く」という言葉は作者自らの希望ではないかと。作品のどこにも触れられてはいないけれども津波で甚大な被害を受けた被災地への祈りではないかとふと感じました。

「橄欖 第90号」(編集発行/日原正彦)

アルツハイマー型認知症の家族を抱えた混乱を書いた早矢仕典子さんのエッセイ「誘われて 青」。家族という小さな単位の中での出口の見つけにくい問題を解決する過程が冷静な目で書かれています。先日知人から家族が急性白血病と診断されたという嘆きや、介護疲れで参っている話を聞かされたのもあり、一気に読みました。いくつかの制度があるものの、それを家庭に根差すマニュアルはなく、多大な労力とストレスがかかるのだと改めて感じます。

「橄欖 第88号」(編集発行/日原正彦)

今井好子さんの作品「忘れられたかばん」。読んでいて、映像が目に浮かびました。これは絵本にしたらよさそうだなあ。忘れられたかばんが網棚の上で入れ替わり立ち替わり入ってくる人を見つめています。
わたしはここの箇所が特に好き。

電車の車庫に入ったら
忘れられたかばんは
忘れられたかばんではなくなり
だれのものでもないかばんになって
わたされるはずだったプレゼントや
賞味期限つきのおみやげや
使いふるしたハンカチや
全部をすっかりひきうけて
ただそこにあるかばんとして
眠りにつきます
(一部抜粋)

「橄欖者」の伊藤芳博さんのエッセイ。60㎞のマラソンに挑戦?!途中で全身痙攣?!。それなのに完走?!すごすぎます。
 

プロフィール

name:
山村由紀
自己紹介:
●主な出版物
詩のアンソロジー『豊潤な孤独』
 (2008.01/草原詩社)
詩集『風を刈る人』
 (2006.06/空とぶキリン社)
詩集『記憶の鳥』
 (2001.07/空とぶキリン社)
●主な活動
個人詩誌「kanpinue」発行
詩誌「風箋」同人
同人誌「Lyric Jungle」編集委員
(詳しくはHPを見てください)
●記事にコメント欄がありません。
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