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「モーアシビ 第26号」(編集発行/白鳥信也)

ブリングルさんの詩「だってそうだから」は言葉がつながっているようなそうでないような、脱線をくりかえす作品ですが、徐々に閉塞感がにじみ出てきます。拒絶と孤独。「わたしの世界がわたしをゴムパッキンで封じているから」という一行に集約されている気がします。

使いこなせない肉球が丸めた名前を口走り
そうで怖いんです。だからもう寝ます。ど
うせ深爪だから。いつまでたっても雨女だ
から。(抜粋)
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「モーアシビ 第23号」(編集発行/白鳥信也)

詩「水のシワ」。白鳥信也さんの作品は複雑な動きをなしています。

水面なのかガラスなのかわからなくなるほどのなめらかな池に小石を放ると
波、水のしわ、黒猫、高雄君と視線が動き、いつのまにか水面が「僕」の内面へと移っています。物や場所が固定されているようで動いている。
僕の水のシワは陸も木々も揺らすのに「静か」で、それは一見矛盾をはらんでいるようでいて決してそうではなく、いくつもの経験を重ねて来た者の、多少のことでは荒ぶらない心を描き出していると感じました。

***

呉生さとこさんのエッセイ「ラクリメ」。母の臨終を看取る体験記で、描写力に引き込まれてぐいぐいと読みました。鳩サブレーの何気ない会話。冷たくなっていく母の身体の変化。亡くなった後おにぎりを食べるシーン。どれもこれも作者の母への想いが詰まっています。

「モーアシビ 第21号」

「モーアシビ 第21号」(編集発行/白鳥信也)

浅井拓也さんの作品「ツララ」。早朝」のローカル線の駅に生っているツララが外灯のオレンジの明かりを映している光景を美しく作品に仕上げています。雪国の刺すような朝の空気が作品から感じ取れます。雪国に行きたくなりました。

「モーアシビ 第22号」

「モーアシビ 第22号」(編集発行/白鳥信也)

作中では雨も降るし、タイトルには「かなしみ」と付いているのにもかかわらず、日照りのような乾いた読後感のある松本真希さんの作品「かなしみドロップス」。その感じは「カラカラ」という言葉が2回使われていることからもありますが、決してそれだけじゃない。諦念と、それを自然に受け止める強さが感じられるからではないか、と思います。
 

お守りがあっては とらわれてしまうと
おじいさんは言った
守るものはここにはなく
やわらかくあたたかく流れ出ていってしまう
あの日のあなたを抱くことができないように

今日の夕焼けが ピンクに雲に照り映える

足の甲の骨はカラカラと
白く乾いていて
押すと痛いのはしかし骨じゃないのだ
白い骨じゃなく
どこか

    (「かなしみドロップス」一部抜粋)

 

「モーアシビ 第13号」

「モーアシビ 第13号」(編集発行/白鳥信也)

松本真希さんの詩「のむ」。こんにゃくはなかなか味がしまない。形も崩れない。その清潔感とあきらめ。期待しない気楽さが表現されていて好感を持ちました。

プロフィール

name:
山村由紀
自己紹介:
●主な出版物
詩のアンソロジー『豊潤な孤独』
 (2008.01/草原詩社)
詩集『風を刈る人』
 (2006.06/空とぶキリン社)
詩集『記憶の鳥』
 (2001.07/空とぶキリン社)
●主な活動
個人詩誌「kanpinue」発行
詩誌「風箋」同人
同人誌「Lyric Jungle」編集委員
(詳しくはHPを見てください)
●記事にコメント欄がありません。
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