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「詩創 第30号」(編集/宇宿一成 発行/茂山忠茂)

大きな天災を経験し、わたしたちはいかに日ごろの生活がもろい物の上に成り立っていたかを知り、恐れ、そしてしだいに忘れていきます。
宇宿一成さんの詩「予感」は、これまでのこと、そしてこれから起こるかもしれない恐怖の予感の狭間で立ちすくんでいると感じました。

この時ふいに
あなたが失われたら、
と想像する

一人の夜
あなたも
私が失われた朝を
想像していたのだろうか
 (抜粋)
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「詩創 第29号」(編集/宇宿一成 発行/茂山忠茂)

田中秀人さんの詩「ある午後のデパートで」。賑やかなデパートで長年連れ添った妻からにじみ出る人のよさが、胸に残ります。こういう控えめな人をこのごろ見かけなくなったように思います。この作品が収められた詩集『セイタカアワダチソウ』は2011年度の南日本文学賞に選ばれたようです。おめでとうございます。

「詩創 第28号」(編集/宇宿一成 発行/茂山忠茂)

妹尾たかしさんの詩「頭上の桜」は、夜勤を終え帰宅を急ぐパート女性たちの頭の上には桜が満開なのに暗くてみえていないという作品です。視線がやさしいです。わたしも夜勤していたからうれしくなってしまいました。

「詩創 第26号」(編集/宇宿一成 発行/茂山忠茂)

植田文隆さん「困るよ」はおもしろい作品です。そうそう、と思わずつぶやきたくなりましたよ。何気ないことへの深い観察が光っています。

「あのスーパーがないと困るよ」
そう言っていたおじさん
そのスーパーがなくなって
おじさんはどこへ
行っていますか 
(一部抜粋)

《受賞報告》の文中に、南九州の新燃岳の活動はいまだ収まらず、桜島の噴火も活発と書かれてありました。心配した翌日、マグマの流れる新燃岳がニュースで流れてどきりとしました。被害のないことを祈ります。

「詩創 第25号」(編集/宇宿一成 発行/茂山忠茂)

米田雄二さんの作品「登校日」は軽快な作風でありながら、なにか不思議な重さを抱えた作品です。その不思議な重さは、日々の生活の中で知らぬ間に背負ってしまう荷物のようです。

取り返しのつかないものはみんな
ぼくの生まれる前に起きてしまっていて
なにひとつやり直せない
まだ長い休みの残りを
どんなふうに過ごせばいいのか (一部抜粋)

金蔵拓郎さんの日記エッセイ(?)の中の「ある皮膚科医の死」。切実なものを持った人とのメールは自分の非力さを痛感します。わたしにも同じ経験があるなあと、深く共感しました。
 

プロフィール

name:
山村由紀
自己紹介:
●主な出版物
詩のアンソロジー『豊潤な孤独』
 (2008.01/草原詩社)
詩集『風を刈る人』
 (2006.06/空とぶキリン社)
詩集『記憶の鳥』
 (2001.07/空とぶキリン社)
●主な活動
個人詩誌「kanpinue」発行
詩誌「風箋」同人
同人誌「Lyric Jungle」編集委員
(詳しくはHPを見てください)
●記事にコメント欄がありません。
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