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「no-no-me no.14」(早矢仕典子個人誌)

三十年、がひとつのキーワードになっているような今号。
子ども時代に元気だった大人たちが老いて少しずつ衰えていく現実を、支えつつとまどう姿が伝わります。わたしも同じ状況だなと感じたりしました(というか入口に立ったところですが)。

帰りがけになって
「あのときは すまなかったな」と
とつぜん言われ
「あのとき?」と訊いたら
「母さんが なくなったときだ」と答えた

なんのことだかよくわからないまま
なにがすまなかったのか
結局最後まで 聞きそびれてしまった (「三十年後に」抜粋)
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「no-no-me no.13」(早矢仕典子個人誌)

早矢仕典子さんの詩「りふじん」は認知症がテーマの作品と思って読みました。これまで介護する側の視点の作品ばかり読んでいたので、この作品には驚きました。「わたし」の主張・認識が、つたなく哀しみを含んで現われています。

あなたに迷惑かけたくないから
粗相してしまったもの
そっとエプロンのポケットにしまっておいたのに
あなたが見つけ出して 怒っている
後でちゃんと始末するつもりでいたのよ
わたしだって 子どもじゃないんだから そのくらい
(抜粋)

「no-no-me no.12」(早矢仕典子個人誌)

詩「帰宅」。この作品の冷たいような熱いような感覚はまさに「豆腐」です。そこに惹かれて読みすすめました。あなた、は作者とどういう関係なのでしょう。近しいようなそうでないような。もしかしたら〈わたし〉はあなたを探し求めているようで、実は〈あなたを理解したわたし〉を求めているのかもしれないと思いました。

お豆腐のならぶ白くてつめたい
スーパーマーケットの一角で あなたは
おとふ みたいになって

お豆腐の角ほどのカドもない
なにもかもとれてしまったような あっさりとした
うぶな顔をして 立ちつくしている

固形であって 固形でないような
豆であって 水 でもあるかもしれない

(一部抜粋)

「no-no-me no.11」

「no-no-me no.11」(早矢仕典子個人誌)

早矢仕さんの手作り風詩誌。細部にわたって手がかけられている詩誌を見るとわくわくします。ところどころに載っている写真はご本人が撮ったのかしら。カラーで印刷してあるんだ、とまじまじと眺めています。今号は八木幹夫さんと近岡礼さんがゲスト、そして早矢仕典子さんの作品は小詩集としてまとめられていました。小詩集からは作者がいろいろな角度から存在していたものを再確認していく姿が見てとれました。

プロフィール

name:
山村由紀
自己紹介:
●主な出版物
詩のアンソロジー『豊潤な孤独』
 (2008.01/草原詩社)
詩集『風を刈る人』
 (2006.06/空とぶキリン社)
詩集『記憶の鳥』
 (2001.07/空とぶキリン社)
●主な活動
個人詩誌「kanpinue」発行
詩誌「風箋」同人
同人誌「Lyric Jungle」編集委員
(詳しくはHPを見てください)
●記事にコメント欄がありません。
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